ロシア魔法民話
Last update: 2021/01/12 by 管理人
ロシア魔法民話テンプレート
- ウラジミール・プロップはキャラクターの「行為」が物語を推進する事に着目
- 皇帝が勇士に鷲を与える。鷲が勇士を竜の谷に導く。
- A が B に C を「与える」 C が A を D へ「移動する」
- 行為を担う役割をもつキャラクターが逆説的に属性を持つ
- キャラクターの属性は 8 つに分類される
- 主人公
- 派遣者 : ミッションを依頼
- 敵
- 敵対者 : 主人公の探す何かを奪う。直接戦う
- 追跡者 : 後半で主人公を追いかけてくる
- 偽の主人公 : 主人公の功績を横取りしようとする偽物
- 援助者
- 贈与者 : アイテムをくれるキャラクター
- 助手 : 移動を助ける、アイテム、あるいは人物
- 対象者 : 冒頭で奪われる(欠如する)もの。最後に取り戻される(回復)
- 8 つのキャラクターが合計 31 の行為を行うのがロシアの魔法民話
- 不在 :「主人公」ないし「対象者」の家族の成員の一人が家を「不在」
- 禁止 :「主人公」または「対象者」に「禁止」を課す
- 違反 :「主人公」または「対象者」は「違反」する
- 情報の要求 : 「敵対者」は「主人公」に「情報の要求」をする
- 情報入手 : 「敵対者」は「情報入手」する
- 策略 : 「敵対者」は「主人公」ないし「対象者」に「策略」を仕掛ける
- 幇助 : 「主人公」ないし「対象者」は結果として「敵対者」を「幇助」する
- 加害あるいは欠如 : 「敵対者」は「主人公」ないし「対象者」に「加害」「欠如」を生じさせる
- 派遣 : 「依頼者」は「主人公」を「派遣」します
- 任務の受諾 : 「主人公」は「依頼者」に「任務の受諾」をする
- 出発 : 「主人公」は「出発」する
- 先立つ働きかけ : 「贈与者」は「主人公」に「贈与」に「先立つ働きかけ」をする
- 主人公の反応 : 「主人公」は「反応」する
- 獲得 : 「主人公」は「助手」を「獲得」する
- 空間移動 : 「主人公」は「助手」の援助で「空間移動」する
- 闘争 : 「主人公」と「敵対者」は「闘争」する
- 標付け : 「主人公」は「敵対者」もしくは「対象者」から「標付け」をされる
- 勝利 : 「主人公」は「敵対者」に「勝利」する
- 回復 : 「主人公」は「対象者」を取り戻し、「加害あるいは欠如」の状態を「回復」させる
- 帰路 : 「主人公」は出発してきた場所に戻るため帰路につく
- 追跡 : 「帰路」についた「主人公」を「追跡者」が「追跡」する
- 脱出 : 「主人公」は「追跡者」から「脱出」する
- 気付かれざる帰還 : 「主人公」は「気づかれざる帰還」をする
- 偽りの主張 : 「偽の主人公」が「偽りの主張」をする
- 難題 : 「依頼者」は「主人公」に「難題」を課す
- 解決 : 「主人公」は「難題」を「解決」する
- 認知 : 「依頼者」あるいは「対象者」は「主人公」を「認知」する
- 露見 : 「偽の主人公」の正体が「露見」する
- 変身 : 「主人公」は「変身」する
- 処罰 : 「依頼者」は「偽の主人公」を「処罰」する
- 結婚ないし即位 : 「主人公」は「対象者」と「結婚」し、もしくは「即位」する
- 所感
- キャラクターそれぞれが 31 の行為を行うのではなく、行為がキャラクターを決めている。
- 「最大」31step で物語が構成されているということ。18.勝利で終了しても良い。
- 現代物語ではもっと少ない
- 大切なのは、31 で作ってみて、構造上の分析(良い・悪い)が判断できるようになること。
- プロップの行為者モデルを無理なく拡張できる
31 行為を分析する
行為という機能に着目する。
このとき、キャラクターの心理や性格は機能ではない事に注意する。
例えば、14.獲得において、
主人公がアイテムを得た後に、そのアイテムで魔法使いを殺害しても機能はすでに果たされている。
- 不在: 対象者の両親がさらわれる。主人公の両親の死。
- 禁止: 外に出てはいけない。
- 違反: 禁を破った主人公に魔法使いが現れる。
- 情報の要求: 魔法使いは、王子の居場所、宝の場所を聞き出そうとする。
- 情報入手: 敵対者が情報を入手する。第三者が漏らす。
- 策略: 対象者をさらう。宝物を盗み出す。
- 幇助: 主人公は図らずとも、敵対者に協力してしまう。
- 加害・欠如: 対象者や宝物を失う。作物が実らなくなる。戦争が始まる(平和が失われる)
プロップは 8 が最重要としている。 他のテンプレートと同意見のようだ。 1 ~ 7 は必ずしも必要というわけではない。
- 派遣: 王が探索を命じる。継母により家から追放される。
- 任務の受諾: 指名を受けて旅立つ。いやいやながらも家を後にする。
- 出発: 家を後にする。
- 先立つ働きかけ: 贈与者からアイテムを貰うための試練。敵との戦闘、修行、救助。
- 主人公の反応: 主人公がミッションをクリアする。
- 獲得: 贈与者から助手を獲得する。人物、アイテム、魔法。贈与者自身が助手となるパターンも多い。
ビデオゲームでは 12 ~ 14 を繰り返すことが多い。
- 空間移動: 助手のサポートで敵対者の位置に移動。
- 闘争: 敵対者とのバトル
- 標つけ: 主人公が傷を追う。姫から証をもらう。
- 勝利: 戦いによる勝利。カードバトルによる勝利。
- 回復: 姫の奪還。アイテムの回収。
ロシアの魔法民話では結末のために 17 が重要とされる。
- 帰路: 帰路につく。
出発と対になっている。
物語のエンジン「欠如・回復」「出立・帰路」の 2 つはここで終了する。
- 追跡: 追跡者の妨害。敵対者が行きている場合は、追跡者としても機能する。
- 脱出: 魔法アイテムによる隠遁。変装。追跡者から逃れる。
- 気付かれざる帰還: 素性を隠して帰還する。
姥皮を適用すると 14.で獲得して 23.に飛んでいるとも捉えることができる。
- 偽りの主張: 偽の主人公。将軍が権利を主張。
- 難題: 王が本物がどちらか判断するため、さらなる試練を与える。大食いをする、ビールを飲む。
- 解決: 主人公が難題をクリアする。千尋が両親を判断する。
- 認知: 主人公が手柄を証明する。17.標付きでつけられた印を使いさらに認定される。
- 露見: 偽の主人公が姿を表す
- 変身: 主人公の変身が解かれる。
- 処罰: 悪が成敗される。
- 結婚、即位: 姫と結婚する。さらわれた娘と結婚する。妻を取り戻す。